中央会ライブラリ
長期休暇に関する実態調査
第2章 中小企業に於ける長期休暇の導入実態調査

(1)滋賀県の全体像
本調査は滋賀県中小企業団体中央会加盟の全組合を対象に行った。滋賀県内の平均年間休日日数は単純平均で93.8日。日数の多い方から10%少ない方からも10%カットした加重平均では96.5日、最も多い事業所で120日、最も少ない事業所で60日であった。1日の平均所定労働時間は7時間45分、中心値も同じく7時間45分であって。最長の事業所は9時間、最短の事業所は6時間であった。加重平均では平均は7時間47分、最長の事業所は8時間、最短の事業所は7時間15分であった。

年次有給休暇の取得率は

有給休暇取得率

と高くない値であった。

(ア)従業員の規模について

従業員の規模

調査の母体は滋賀県中小企業団体中央会であるため、傘下の加入企業は当然中小企業となるのであるが、滋賀県の特色として、10人から50人未満の事業所の割合が全体の50%超を占めており、中小企業、特に零細企業の割合が多いことを物語っている。
労働安全衛生法では、従業員数50人以上で全業種に衛生管理者の選任義務があり、製造業等特定の業種に安全管理者の選任義務がある。
長期休暇導入の目的の内の一つである、疲労の蓄積による労働災害の防止という観点から考えると、事業所内に衛生(健康状態の管理等)及び安全に関する仕事を専属でこなす従業員がいない事業所が滋賀県下に多いことが伺がえる。
尚、従業員10人以上50人未満の事業所においては、労働安全衛生の業務を円滑に遂行するために安全衛生推進者又は衛生推進者が選任されている。

(イ)業種について

業種について

大阪・京都のベッドタウンとして継続して人口増加が続く滋賀県であるが、人口の増加のみならず、琵琶湖周辺に広がる広大な平野、モータリゼーショ ンに対応した道路網の整備、名神高速道路・東海道新幹線(京都駅・米原駅)・東海道本線等、日本の交通網の幹線の接続が容易なことにより滋賀県内への工場進出も多く、大工場の進出等に伴い、滋賀県内の製造業の割合は少なくない。また、人口増に伴う住宅増や公共工事等により建設業が多いのも滋賀県の特色の一つといえる。
反面、卸売業・小売業・サービス業・飲食業等いわゆる「客商売」の業種で業務の大半をマンパワーによる業種も全体の約50%に達している。
長期休暇制度導入の観点からは、一見導入しやすい業種もあるが後述するように、各業種毎に企業内で解決できない阻害要因が存在している実情がある。

【その他の業種内訳】

塗装・防水工事
自動車修理販売
運送業
産業廃棄物処理業
輸入業
倉庫業
看板製作塗装業
複合サービス事業
貨物運送取扱業
接骨院、デイサービス、訪問介護、居宅介護支援
旅客自動車運送事業
運送業

(ウ)地域分布について

地域分布について

今回の長期休暇制度導入のアンケートに際しては、昨今の市町村合併を考慮し地域分布は管轄公共職業安定所により集計することにした。労働に関する行政官庁の所轄を地域分布に利用する手法において、社会保険事務所・労働基準監督署・公共職業安定所(今回採用)等が考えられるが、社会保険事務所は滋賀県内に3所しかなく、分類が大きくなるので今回は見送ることにした。労働基準監督署は4署しかないため採用しなかった。
グラフで示すとおりサンプリングに於ける地域分類は滋賀県内均等であるといえる。

(エ)従業員の人数について

1.長期休暇を導入できるくらいに充足しています
2.充足しているが長期休暇を導入できるほどではありません
3.不足とまではいえないが、何とかやりくりして日常業務はこなせる程度です
4.不足気味で慢性的に残業が発生しています
5.不足しています
6.その他

従業員の人数について

滋賀県内全体でみると、「長期休暇制度を導入できるぐらい充足しています」は、わずか4%でしかない。
逆に長期休暇制度を充足できる程でないという「充足しているが長期休暇を導入できるほどではありません」「不足とまではいえないが、何とかやりくりして日常業務はこなせる程度です」「不足気味で慢性的に残業が発生しています」「不足しています」の合計が94%に上り、従業員さん不足が長期休暇制度導入の阻害要因になっていることが推察できる。
特に「不足とまではいえないが、何とかやりくりして日常業務はこなせる程度です」の割合が55%と突出して高く、滋賀県内の中小企業が、従業員さんに余剰がない状態で操業しているところが多いことが解る。

【その他内訳】
家族経営のため長期休暇はとれない
不足してるが何とかやりくりして日常業務はこなせる程度

(オ)従業員の増減について

1.長期休暇ができるぐらいに増やす予定です
2.有給休暇の消化率が80%以上になれるぐらいに増やす予定です
3.日常業務に少し余裕が持てるぐらいに増やす予定です
4.慢性的な残業を解消できるくらいに増やす予定です
5.増やす予定はありません
6.自然減をまちます
7.その他

従業員の増減について

滋賀県全体では、従業員数が「不足とまではいえないが、何とかやりくりして日常業務はこなせる程度です」が突出して多いのであるが、増減の予定の調査では、「増やす予定はありません」が61%と突出しています。このことは、回復基調にあるといえどもまだまだ中小企業には厳しい昨今の経済情勢を考えると従業員数の増加に対し事業主は警戒感があるのでしょう。

【その他内訳】
今の所はわかりません。
景気低迷と適当競争が続く中、今の所余裕がない
検討中
募集中
今のところ予定なし

(カ)長期休暇導入について実際にされていることを教えてください

1.変形労働時間制を導入して、休日のやりくりで長期休暇を導入しています
2.年次有給休暇の計画的付与を利用して長期休暇を導入しています
3.特別有給休暇扱いで長期休暇を導入しています
4.長期休暇は導入していません
5.その他

長期休暇導入について実際に行っていること

滋賀県内の企業では、「長期休暇は導入していません」が78%と圧倒的に多い。このことは、「(エ)従業員の人数について」において「不足とまではいえないが、何とかやりくりして日常業務はこなせる程度です」の割合が55%であったことと符合する。
反面、長期休暇制度を導入している企業では、「変形労働時間制を導入して、休日のやりくりで長期休暇を導入しています」が10%、「年次有給休暇の計画的付与を利用して長期休暇を導入しています」が6%あり、変形労働時間制を導入している企業の合計18%のうち16%(占有率88.8%)を占めており、長期休暇制度を導入している企業は、人件費総額を上げることなく、工夫して長期休暇制度を導入していることが解る。
このことは、長期休暇制度未導入の企業にとっても、導入のための大きな手がかりになると思われる。

【その他内訳】

1を採用していたが、現在はおこなっていない。
サービス業の為、長期休暇がとれない。
業務量にあわせて長期休暇を導入している。
取引先長期休暇に合わせ調整する。

(キ)長期休暇制度を導入したことにより、どの様な効果があったと思いますか

1.従業員の心身リフレッシュにつながった
2.仕事の効率が良くなった
3.従業員の働く意欲が向上した
4.会社との信頼関係が強くなった
5.職場の雰囲気が良くなった
6.あまりかわらない
7.仕事の効率が悪くなった
8.その他

長期休暇制度を導入したことによりどの様な効果があったか

長期休暇導入の効果について、効果を認める回答と効果が現れていない回答が拮抗する結果となった。具体的には「従業員の心身のリフレッシュにつながった」という効果的な回答が30%ある反面、「あまりかわらない」という回答が35%に上っている。「仕事の効率が良くなった」と「仕事の効率が悪くなった」が同じ7%である。しかし、全体的には、長期休暇制度導入の効果について認める回答「従業員の心身リフレッシュにつながった」「仕事の効率が良くなった」「従業員の働く意欲が向上した」「会社との信頼関係が強くなった」の合計が56%に上っていることから、長期休暇制度の導入は企業経営になんらかの効果があるといえる。

【その他内訳】
(記載無し)

(ク)長期休暇を導入できたのは何がポイントになったと思いますか。

1.同業者の話を聞いて
2.従業員の強い要望があったから
3.会社との関係改善が必要と考えたら
4.従業員の心身のリフレッシュが必要と考えたから
5.昔からの慣習
6.従業員が年次有給休暇をあまりとらないから
7.その他

長期休暇を導入できたのはポイント

長期休暇制度導入の動機については、「従業員の強い要望があったから」はわずか3%しかなく、反面「会社との関係改善が必要と考えたから」「従業員の心身のリフレッシュが必要と考えたから」「従業員が年次有給休暇をあまりとらないから」の会社側からの積極的な働きかけが合計65%に達している。また「昔からの習慣」が24%あり、この肢の導入原因は不明であるが、少なくとも24%の半分の12%が会社側からの積極的な働きかけと推定すると、全体で実に77%が会社側からの働きかけによる長期休暇制度の導入といえる。逆に言えば、会社側からの働きかけで導入したからこそ、その効果に期待するところも大きいのであろう。

【その他内訳】
(記載無し)

(ケ)長期休暇を導入する際の阻害要因は何だったと思いますか。

1.親企業等の取引企業(または顧客)への納品期限或いは受注時期の不定期性
2.景気低迷
3.人手不足
4.昔からの慣習
5.受注の増加
6.その他

長期休暇を導入する際の阻害要因

長期休暇を導入する際の阻害要因を考えると、「親企業等の取引企業(または顧客)への納品期限或いは受注時期の不定期性」「景気低迷」の合計が48%であるのに対して「人手不足」「昔からの習慣」の内的要因が42%であり、ほぼ拮抗している。このことは、今後長期休暇制度導入を検討する企業にとって、阻害要因発見の一助になり、ひいては、阻害要因を除去し長期休暇制度導入の道標となるだろう。
つまり、今後長期休暇制度導入を検討しようとしている企業においては、阻害要因の探索は、外的要因に先駆けて内的要因を調査し除去し、その後外的要因の調査に進むことが近道であるといえる。

【その他内訳】
(記載無し)

(コ)長期休暇を導入する際の阻害要因はどのように取り除きましたか。

1.親企業等の取引企業(または顧客)への納品期限或いは受注時期の定期化
2.景気低迷を逆手にとり、たまった年次有給休暇を取らせた
3.パート・アルバイトを雇用した
4.勤務体系を見直した
5.作業手順を見直した
6.設備投資等により仕事の効率化・合理化を進めた
7.従業員に任せた
8.特に何もせず、とにかく実施してみた
9.その他

長期休暇を導入する際の阻害要因をどのように取り除いたか

除去する阻害要因に応じて種々の手法があるが、「親企業等の取引企業(または顧客)への納品期限或いは受注時期の定期化」「勤務体系を見直した」「作業手順を見直した」「従業員に任せた」「特に何もせず、とにかく実施してみた」の大きな経費増を伴わない除去方法が全体の67%を占めている。特に「従業員に任せた」「特に何もせず、とにかく実施してみた」が上位1位と2位であり合計が32%もあることから、長期休暇制度導入については、案ずるより産むが易しかもしれない。

【その他内訳】
(記載無し)

(サ)長期休暇を導入した場合、どのような効果があると思いますか。

1.従業員の心身リフレッシュにつながる
2.仕事の効率が良くなる
3.従業員の働く意欲が向上する
4.会社との信頼関係が強くなる
5.職場の雰囲気が良くなる
6.あまりかわらない
7.仕事の効率が悪くなる
8.その他

長期休暇を導入した場合の効果

長期休暇制度に対する期待はやはり「従業員の心身リフレッシュにつながる」が31%圧倒的に高く、次に「従業員の働く意欲が向上する」が18%となっており、中小企業において従業員は経営の根幹であり、従業員のことを思いやる経営者の気持ちが良く表れている。長期休暇制度実施済の企業におけるアンケートにおいても「従業員の心身リフレッシュにつながった」が30%、「従業員の働く意欲が向上した」が12%と期待通りの効果が得られることが実証されている。

【その他内訳】

経営が成り立たない
体制が整っていない
顧客満足維持の為の人件費増加

(シ) 長期休暇をどうすれば導入できるとおもいますか。

1.同業者のほとんどが導入すれば
2.従業員からの強い要望があれば
3.助成金などの国の補助があるのであれば
4.従業員が年次有給休暇をあまり取らないのであれば
5.何があっても無理
6.その他

長期休暇をどうすれば導入できるか

長期休暇制度導入による効果に対す期待はあるものの、昨今の経済状況から経営を考えるとなかなか長期休暇制度導入には踏み切れないのであろう、「助成金などの国の補助があれば」が35%と突出している。
しかし、「何があっても無理」という否定的な肢も15%と高い値を示している。このことは長期休暇制度導入については、企業毎の個別の解決しがたい事情も内在していると言えるだろう。

【その他内訳】

行政の指導
歴通りとれており、導入予定なし
現実は無理だと思います
基本的に無理があると考える
個人なら可能かも?
景気が良くなり、売り上げが伸びれば
仕事の段取りを変えて支障のないようにする
しない
必要性なし
従業員数増加すれば導入したい。募集中
景気が安定的に良くなれば
パート従業員
一つの仕事を複数人が十分マスターできれば
無理のような気がします

(ス) 長期休暇制度を導入する際の阻害要因は何だとおもいますか。

1.親企業等の取引企業(または顧客)への納品時期或いは受注時期の不定期性
2.景気低迷
3.人手不足
4.昔からの慣習
5.休暇より顧客開拓の方を優先すべき
6.その他

長期休暇制度を導入する際の阻害要因

この値は「(ケ)長期休暇を導入する際の阻害要因は何だったと思いますか。」とぴったり一致する。
長期休暇制度を導入するためには、外的要因を除去することが考えられるが、外的要因の除去は取引先等の協力等自社のみでは解決出来にくい問題である。従って、長期休暇制度を導入するためには、やはり、内的要因を除去する努力からはじめるべきであろう。

【その他内訳】

大型スーパー内で営業しているので年間休日は減る一方です
経営者の判断
休日数は必要十分を満たしている
経費値上がりのため会社経営が苦しい
休み多い
それぞれが自分のカレンダーで休むから
特になし
人材不足
事務職は代替で処理対応できるが営業職は、業者中心になっている為、代替がきかない

(セ) 長期休暇制度を導入する際の阻害要因はどのようにすれば取り除けると思いますか。

1.親企業等の取引企業(または顧客)への納品時期或いは受注時期の定期性
2.景気回復により人手不足が解消できたら
3.勤務体系が見直せれば
4.作業手順の見直しができ、効率化が図れれば
5.助成金など国が補助等をしてくれるのであれば
6.何をしても無理
7.その他

長期休暇制度を導入する際の阻害要因はどのようにすれば取り除けるか

長期休暇制度を導入する際の阻害要因除去は「親企業等の取引企業(または顧客)への納品時期或いは受注時期の定期性」「景気回復により人手不足が解消できたら」の外的要因の合計が42%に達している。しかし、内的要因である「勤務体系が見直せれば」「作業手順の見直しができ、効率化が図れれば」の合計が20%であり、これに「助成金など国が補助等をしてくれるのであれば」の27%を加えると47%になる。このことから、長期休暇制度の導入は外的要因にかかわらず内的要因の除去で導入のとっかかりになることが出来るであろう事は前述の通りである。

【その他内訳】

行政の強い指導
競争激化・納期優先・生き残りをかけているので難しい
経営者の考え方の転換
中小零細では無理
景気回復によりコストダウンや売り上げアップ