平成12年度の同じ質問項目による事業協同組合調査が実施されているから、その内容と比較して回答率の差異が大きく、かつ、特に強調する必要性があると考えられる事項についてまとめる。
第一に、図表2-1最近3年間の組合員数の増減傾向を全体の回答率で見ると、今回の調査の方が3%少なくなって5%である。さらに、減少傾向の回答率は5%少なくなって、52.8%である。つまり、減少に緩和の兆しが出ていて、組合員数の減少を悲観視する事はないと考える。
第二に、図表3-2現在実施している事業の上位3項目の全体では「共同購買・仕入れ」では9%増加して38%に。「共同宣伝・販売促進・イベント」では7%増加して32%に。「情報収集・提供」では2%増加して37%になっている。組合事業の原点である「共同購買・仕入れ」「共同宣伝・販売促進・イベント」を主要な事業にし、組合の活性化を図る意向が汲み取れる。そして、組合の活性化を補強する手段に「情報収集・提供」に力点を置く組合が増加している事が明確になっている。
第三に、情報化時代に入り、図表3-7インターネットに接続をしている組合は全体で19%増加して51.7%になっている。ただし、A商業で接続している組合は42%にて最も低くなっている。商業で最も大切な仕入れに関する一次情報をインターネットで索引し、これを踏み台にして最適な仕入れの方法を研究することをもっと検討されて良いのではないか。A商業の事業では「クレジット・商品券・ポイントカード発行」の顧客サービスに偏りすぎていると解釈できる回答率になっていて、商売の基礎的な事項に対する力の入れ方が不足しているような調査結果である。客層を把握し、客層に適した商品仕入れの方法を絶えず研究することは最も大切な課題である。
第四に、図表5-2で組合の決算状況を平成11年度と16年度で全体を比較すると、「剰余がでた」組合は10%減少して53%に、「損失がでた」組合はほぼ横ばいで31%である。B製造では損失発生組合は43%、にも達していてこの業種の組合の事業の見直しが喫緊の課題になっている。事業の取組み方については冒頭の事例組合の報告に関連して記述した。
第五に、B製造では図表6-1A環境変化への今後の対応として、?「組合外部との情報ネットワーク化:23%」?「組合員の新分野進出、新規事業の展開への支援:18%」?「後継者等人材の確保・養成:29%」の回答率(今回調査にて)で?以外は何れも1位の回答率になっている。この中で?に関しては、組合員の規模、業態などが異なり、かつ、多様化の需要要求に対応するため、一様な支援策は困難であるから、分科会方式での研究が必要になる。必然的に受益者負担の原則による参加者の経費負担で必要経費をまかなう必要性がでてくる。この問題が乗り越えることが最も重要な課題である。特に留意しなければならないことは、分科会の活動状況を組合員に伝達する情報処理の仕組みを作り、組合内に根を生やすようなシステムを作り上げることが組合の活性化に関して特に重要な問題である。
「組合外部との情報ネットワーク化と後継者等人材の確保・養成」の問題は別個に扱われることなく、相互に関連付けた事業化を研究することで魅力ある事業になる可能性がでてくるから、その企画のあり方を研究する必要がある。
第六に、図表6-1B全体における「組合の目的・事業の見直し:10%」では、前回よりも全体で2%減少している。経済構造の変化により、事業の見直しの必要性が向上しているのに、組合運営に関する危機感が欠けてきているような結果である。長引く不況の影響で危機が慢性化して真の危機感が薄くなっているのかもしれない。今回の調査結果を踏まえて危機感を強めた見直しが必要である。
第七に、図表6-3事業面における障害の全体では「組合事業と競合する外部企業などの進出」を問題視する回答率が前回の26%から32%に増加している。この問題ではC建設:43%、A商業:32%を示して危機感を募らせている。この対策には、前述した組合事業の見直しにより、活路を開く方策を研究することが必要になる。事例組合の報告に関連して事業のあり方について記述した。
第八に、図表6-6組合から会社組織への変更の全体では「今後検討していきたい」は前回の8%から3%に減少。「今のところ考えていない」では前回の51%から78%に増加している。組合の存在意義がいろいろと論じられているが、実際には組合に依存しなければならない問題が少なくないことが認識されていることの反映と解釈できる。
既に図表1-1設立年別の組合数に関連して記述したことであるが、平成元年以降の設立率に大きな減少が見られる状況ではない。それ以前の10年間と以降の10年間の組合設立率を比較すると、設立率の低下は見られないだけでなく、Dサービスでは急増している。
これらの調査結果から強調できることは、組合の存在意義が問題ではなく、産業構造の変化に伴う組合事業の見直しの必要性が生じている事に問題があり、見直しの必要性があることを認識することと、組合の存在意義を論じることは根本的に異なっていることの認識が何よりも重要な問題である。
今回の調査結果に基づいて創造的な視点からの組合運営法の見直しが必要になる。創造的な視点で特に強調したいことは、事業の取組みを単独の事業として捉えることなく、相互に関連付けてシステム化した取組み方が不可欠である。単独の事業では如何に優れた企画が行われても、持続的な発展に向かうことは出来ないで短期間に息切れする。関連付けた事業企画にすることで、事業間に相互刺激作用が働いて創造性のヒントが得られるようになる。
組合事業のシステム化を図ることで、相乗効果が得られ、かつ、次の事業を企画することに結びつき組織の活性化が図られる。あらゆる組織体はシステム化が図られることで発展するが、それが図られていない組織体では、一時的な盛況で終わることは、多くの組織の発展の経過が証明している。システム化で特に大切なことは、情報の伝達方式において縦・横の関連付けを行うこと、事業相互を関連づけた活動が展開されるように図ることが特に重要である。
